PBRについて考察
- 前回はPERについて考察、アウトプットをしてみました。
- 今回は株式投資では代表的な指標の一つのPBRについてアウトプットしてみようと思います。
- 前回もいいましたが、2〜3時間でバーと書いて推敲なんぞしとりません。
- 所詮2年前までマイナス金融リテラシーだったおっさんが書いている株に関するたわ言です。
- PBRとは price to book-value ratio
- 直訳すると「純資産に対する価格(株価)の比率」、株価純資産倍率。
- またしても文字面だけじゃわかりにくいっす。
- 簡単に言うと、会社が持っている純資産に対して株価の評価はどうなってるんだ?ってこと。
- 個人(サラリーマン)でいえば、PERはその人の稼ぐ力、給料に対するマーケットの評価、PBRは貯金とか持ち家(厳密に含み資産は違うけど)などに対するマーケットの評価のイメージでしょうか。
- 計算式でいうと、
- PBR=時価総額/純資産
- 1株あたりの純資産を book-value per share;BPSというので、
- つまりPBR=株価/BPS とも言い換えられます。
- ここまでは株を始めた当初読むような、当たり障りのない本に載っていることです。
- このPBRに対しても以前ご紹介した山本潤さんは「異論」を唱えています。参考まで。
- バリュー投資で使うとされるミックス係数についてもズバッと解説があります。
- 私は、当たり前のものとして世の中に固定されている昔ながらのロジックに異論を唱えることは非常に意味があることだ思います。(なんで上から目線やねんw)
- それまでのロジックの「盲点」が見え、更にいいロジックが積み上がります。
- 一面的な側面からの考え方に依存するのではなく、多面的に自分で「考える」「思考する」大切さを問うてくださっている気がします。
- PBRは一般的には、PBR;1倍を割るような企業は、時価総額(株価)が会社解散価値より低いわけだから投資案件割安でお買い得だよというロジックになります。
- つまりPBRが低ければ低いほど買い得だということです。
- 「割安」か「割高」かという点では、純資産ベースである意味正解だと思いますし、初心者にも受け入れ安い指標かなと思います。
- 果たして株価が「安い」から「お買い得投資案件」と言い切れるのでしょうか。
- PBRには大きく2つ落とし穴があると思います。
- 1つ目が「純資産=簿価」であり、簿価と実質資産の鞘があって企業によっては「デタラメな評価」になること。2つ目が資産が必要・不必要なビジネスモデルを「混同して評価」しているし、純資産を積み上げてきた年月が全然違うのに同じ軸で評価され「混同」されているということです。
- まず1つ目、「デタラメな評価」になること。
- 前述でbook-valueを「純資産」と訳しましたが、直訳すると「帳簿上の価値」=簿価です。
- つまりは純資産とは貸借対照表;バランスシート(B/S)でいうと、総資産から負債を差し引いたものと定義される「企業帳簿の会計上の数字」です。
- 図で見ると分かりやすいです。
- そこには「カラクリ」がいくつかあります。
- 「のれん」と言われる架空の企業価値がこの中に含まれる(無形固定資産)ことがあるのです。
- 「のれん」とは会社を買収・合併(M&A)する時の「買収された会社の時価総額純資産」と「実際の買収価格」との差のことです。つまりは無形の価値(超過収益力、信用、ブランドイメージなど)のことを指します
- 差額は「のれん」として貸借対照表の資産の部に計上し、償却場合によっては減損する必要があります。
- 日本基準の会計基準を使っている企業の場合は20年以内の償却、米国基準やIFRSを使っている場合には、被買収企業が思った収益を出さない場合に減損する必要があるのです。
- 会計報告のやり方も「日本会計基準」や「国際会計基準(IFRS;International Financial Reporting Standards)」で日本は混在している現状です。
- 逆に、純資産額より低い金額で買収した場合は、「負ののれん」が発生し、その差額が利益となります。
- その利益を営業利益として計上することは業績不安を内包することになります。
- IFRSの場合、買収した会社の超過収益力がなくなったら「のれん減損」を突然計上しなければなりません。
- そんな減損される可能性のある「のれん」が純資産に含まれていることがあるから要注意です。
- 「売掛金」もこの総資産に入ります。
- 売掛金とは後になって売上となるいわゆる「ツケ」みたいなものです。
- 売掛金は回収してお金になるもので、会社の決算書上は流動資産になり、会社としてプラスのものですが、そのプラスの中に不良債権(回収困難な債権)があると数字上では「プラスが大きく見えてしまう」事になります。
- また総資産のうちの有形固定資産の土地や不動産は取得した時の金額で帳簿に載ることが多いです。
- バブル経済の時に買った土地があれば、今現在の価値よりはるかに高い金額になってしまい会社の資産が実際よりも多く見えてしまします。
- また固定資産のうち、持っている機械の用途が特殊だったりして買い手が見つからなかったり、売れたとしても安く買い叩かれてしまいます。
- その逆もまたありうります。
- 含み資産と言われる、元々所有している土地や不動産が一等地で、簿価より時価が上がっているものや、有価証券も含み益があるものがそれに当たります。
- つまりひとくくりに「純資産」と言っても本当の価値があるのか精査する必要があります。現金同等物つまりネットキャッシュなら価値はそのままでしょう。
- ここでも前回と同じことを言います。調べる必要がありますね。企業分析がマスト!!
- そして2つ目の落とし穴。ビジネスモデルによって混同されて評価されることがある。
- 会社のビジネスモデルは様々で、高価な設備投資、大掛かりな工場で製品を作り販売することによって利益を出すビジネス、つまりは固定資産が多く必要な会社は純資産が必然的に大きくなりPBRは小さくなります。
- 一方でコンサルタント会社のように設備が本社の賃貸オフィスのみで、会社価値はコンサルタントの営業社員の能力そのもののビジネスは必然的に純資産が小さくなりPBRは大きくなります。
- それらを同じ指標PBRで比較するのは、正直なんのこっちゃです。
- またPBRが1を切って0.3とか0.2の企業も中にはあります。言い換えればそれは市場から純資産を毀損するようなビジネスだと思われているとも取れます。つまり、過去に赤字であった実績が残っているしょぼいビジネスという評価です。
- そのしょぼいビジネスと評価される会社へ投資はお買い得になるかどうかここでも調べる必要がありますね。ここで調べて成長の種や利益を出す変化の兆しがあるなら買いかもしれません。やっぱり企業分析がマスト!!
- またできたばかりの会社は過去に資産を積み上げる時間はなく、「これから」積み上げていくのでPBRで評価するのもなんかおかしい。
- ただ新興株という生まれたての赤ちゃんがめちゃすご大人になるかは当たり外れがあると思うので、精査もさることながらストーリーウォッチも必要!!