どらいぶの株日記

株のいろんな考察の記録が目的です。目標は年初来+20%達成。

Black Box Thinking.① 失敗をどうとらえるか

ブラックボックスといえば、

 

事故検証のために航空機に備えつけられた録音装置が入った頑丈な箱であることは、

多くの人が知っていることだと思います。

 

しかし、ブラックボックスについて

こんなに深く掘り下げて考えてみた経験がある人は

そんなに多くはいないはずだと思います。

 

 

 

オックスフォード大学政経学部を首席卒業し、

10年間卓球の英国トッププレイヤーだった

異色のイギリス人文筆家のマシュー・サイドさんの

「失敗の科学」 

原著タイトル;Black Box Thinking

を読んでみてとても面白かったので、

記録に残しておこうと思います。

 

 

今までの僕自身の「失敗の捉え方」や、

複雑に因子が絡み合った世界(医療、株の世界、子育て、人間関係、日常生活とか)

での成功と失敗の関係について、

深く考えてみるとてもいいきっかけでした。

 

 

我々が進化を遂げて成功するカギは、

 

「失敗といかに向き合うか」

 

にあるという、

成功には失敗が切っても切れない関係にあるというテーマのお話であります。

 

 

航空業界には、

人間は誰でもミスを犯すという前提で、

 

操縦士などの個人のミスを非難しない文化があり、

ニアミスも含めてミス(=航空機事故)を

ブラックボックスという客観的データでできるだけ失敗と向き合って解釈し、

次にルールとして組み込むという素晴らしいシステムがあり、

今や現代の乗り物の中で、

一番安全な乗り物になり遂げた例が話されております。

(自転車より事故率が低い)

 

 

しかも、医療業界はこれとは非対称で、

医療事故を例に

個人の責任が追及される、

調査嫌い、

完璧でないこと=無能に等しい という考え方、

患者が医者に完璧を求めている歪んでいる背景、

失敗を認めることが、自分のプライドを脅かす、

という失敗から学んで、システムを改善する歩みを

止めているという、

 

「クローズド・ループ現象」

 

がいまだ起きていると、

 

医療従事者には耳が痛い話が展開されております。

 

 

自分の肌感覚としても、

ヒヤリハットの報告システムは直近の大きな病院ではシステム改善がみられるものの、

我が国の医療業界の隅々まで、

航空業界のような失敗に寛容な世界で失敗が改善されていくスピードは速いか?

と問われれば、残念ながら疑問符が残る実情であります。

 

 

確かに、いくら経験を積んだベテラン医師や凄腕と言われる外科医でも

こんなミスするの?っていう場面を

まれにみたり、聞いたりすることがあります。

 

医療現場で

危機が迫る中では、だれでもその対処に集中しすぎます。

その状況では、時間感覚も含めて、

周囲への「認識力」

は誰でも低下してしまいます。

 

上下関係が物を言いづらくさせる状況、

どうしても田舎の医療過疎、

夜間帯の医療スタッフの手薄な状況、

日本人の死に対する倫理観、

寝たきりだろうができるだけ延命すればいいやん的な背景、

社会問題や人間心理など多くの因子と関わった失敗が多いといのも

肌感覚で合っているし、

個人の訴訟を恐れすぎている医療従事者がほとんどであるっていう、

失敗を徹底的に改善できない文化に繋がっているのがすごくよく理解できました。

 

 

複雑に要因が絡み合う世界では、

 

失敗からの学びが、「最も費用対効果がいい」

 

と筆者はおっしゃっています。

 

なぜななら、世界は複雑すぎて、

全てを理解するのは、不可能に等しいからだ。

 

うーん、肌身にしみる...

 

 

複雑だから、試しまくって、いっぱい失敗して、正しく失敗と向き合って、

成功を探し出すのが、正攻法だよっという、

 

できている気になっていて、

意外にできていないお話なのであります。

 

 

 

また「失敗への解釈の仕方」にも言及していて、

 

「目の前には見えていないデータ」を含めた、

全てのデータを考慮に入れなければならない。

全ては仮説にすぎない。

 

科学の世界では、「立証」することが重要。

と同時に「反証」となりうるデータも検証しない限り、知識は進歩しない。

 

と言っておりまして、

 

どういうことかと言いますと、

たとえば、水は100℃で沸騰しますが、(=立証する)

標高が高いところ(気圧が低いところ)では、

100℃より低い温度で沸騰する理由を考えるという

(=反証となるデータをを検討する)

ことをして、知識が進歩するわけであります。

 

 

要するに、

科学者は、

科学理論には誤りがあったり、不完全であることが多いと認識している。

だから科学知識は進歩しているとおっしゃっているのです。

 

 

これに対して、

疑似科学」と称して、

星占いやアドラー心理学をケチョンケチョンにぶった切ってまして、

 

占星術」は、何にでも当てはまるように話を展開し、

理論が完璧に見える。

アドラー心理学」の「優越コンプレックス理論」もしかりで、

(あらゆる人間行動は自分を向上したいいう欲求から生まれる、という理論)

 

完璧な理論は、

支持者の目には、強力に説得力のある理論にみえる。

「何でもあてはまる」ということは、

失敗はゼロなので、何からも学べないことに等しい。

失敗を経験していない代償は大きい。

これらの理論は200年余り進歩していない。

 

 

たしかに。。。。

「星占い」も「アドラー心理学」も

自分があまりしっくりこなかった理由がここにあるのか!

すごい所を突いている、

とハッとさせられました。

 

 

 

間違いを教えてくれる「フィードバック」がなければ、

闇雲に訓練や経験を何年積んでも、何も向上しません。

 

「フィードバック」は、道を示してくれる「明かり」で

 

とってとてつもなく大きな存在です。

 

医療行為でも日常生活でも、子育てでも、

株の銘柄・リスク管理でも、

 

初めから答えを求めるようでは、

決して答えにはたどり着かない。

 

失敗して、データをとり、

反証を含めた客観的なフィードバックを積み重ねて、

答えに近づくし、

それもまだまだ完ぺきではない!

ということです。

難しいけど実践していくしかありません。

 

 

また明日!